もうどう犬のきほん

ずっと昔から、犬は目が不自由な人の大事なパートナーなんだよ。
まずは、「もうどう犬」の役わりや歴史について学んでみよう。

「もうどう犬」ってなに?

街で「もうどう犬」を見かけたことがあるかな?

もうどう犬は、目が不自由な人が安全に歩けるように助ける犬のこと。いま、日本では約930頭(※)のもうどう犬が活やくしているんだ。

目が不自由な人が歩くとき、何かにぶつかる、だん差でつまずく、曲がり角が分からなくて道に迷うなど、こまることがいくつかある。もうどう犬は、いっしょに歩きながら、ぶつかりそうな場所をよけたり、指示すればかいだんやドアの場所を教えてくれたりするんだ。

ちゃんと法りつでもみとめられていて、もうどう犬の使用者(目が不自由な人)といっしょに、電車やバス、お店、レストランの中にも入ることができる。街でもうどう犬を見かけたら、大事な「お仕事中」だから、さわらないで見守ってあげてね。

※ 2019年4月1日現在

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してみよう

なぜ、もうどう犬が必要なの?

目が不自由な人が歩くとき、「だれかに手を引いてもらう」、「白いつえで確かめながら歩く」、「もうどう犬と歩く」など、いくつかの方法があるんだ。

自分が出かけたいと思ったときに、いつも手伝ってくれる人がいるとは限らないけれど、もうどう犬はいつもそばにいる。そして、かいだんや曲がり角なども代わりに見て教えてくれる。もうどう犬がいることで、近くにだれかがいなくても安全に歩けるようになるし、初めての場所や遠くまで行けるようになるよ。

それに、パ―トナーの犬がいっしょにいることで、気持ちが元気になる人も多いんだ。目が見えなくても、もうどう犬といっしょに一人で海外旅行を楽しむ人もいるんだよ!

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もうどう犬(アイメイト)といっしょに、保育園に子どもをむかえに来たお母さん

どこが育てているの?

もうどう犬を育成する団体は世界中にあるよ。日本では11の団体がもうどう犬の育成·訓練をしているんだ。それぞれの団体によって、考え方や訓練の方法もちがうけれど、このサイトでは、日本で初めてもうどう犬を育成した「アイメイト協会」の考え方を基本に話していくね。

アイメイト協会では「もうどう犬」ではなく「アイメイト」というよび名を使っているんだ。アイメイトとは「わたしの愛する目(アイ)の仲間(メイト)」という意味。アイメイト協会では「まったく目の見えない人が、目の見える人がそばにいなくても、白いつえをもたなくても、犬とだけで歩けること」を目指しているよ。

もうどう犬の歴史

1819年
海外 オーストリア・ウィーンの神父が、もうどう犬を訓練した記録が残っている
1916年
海外 ドイツ赤十字社とシェパード犬協会がオルテブルグにもうどう犬育成学校を設立
1923年
海外 ドイツ・ポツダムに国立のもうどう犬学校が設立され、多くのもうどう犬が誕生。戦争で目が不自由になった人の社会復帰を助けた
1929年
海外 アメリカ・ニュージャージーで、いまあるなかでは世界で最も古いもうどう犬育成団体「The Seeing Eye, Inc.(ザ・シーイング・アイ)」が設立。たくさんのもうどう犬を育てている
1938年
日本 アメリカのゴルドンさんが、もうどう犬「オルティ」をつれて来日。次の年にドイツから訓練された4頭のもうどう犬が来て、戦争で目が不自由になった人が使ったのが日本での始まり。でも、この4頭がなくなったあと、しばらくの間、日本からもうどう犬はいなくなってしまう
1957年
日本 アイメイト協会をつくった塩屋賢一(しおや・けんいち)が独自の訓練方法を開発。日本で訓練された初めてのもうどう犬「チャンピイ」がたん生
1977年
日本 一部の電車に、もうどう犬といっしょに乗っていいことになる。このあと、少しずつレストランや旅館、お店など、もうどう犬といっしょに入れる場所が増えていく。
1978年
日本 「道路交通法(どうろこうつうほう)」が改正されて、目が不自由な人は白いつえを使うか、もうどう犬といっしょに歩くことがしめされた
2002年
日本 「身体障害者補助犬法(しんたいしょうがいしゃほじょけんほう)」成立:もうどう犬のほか、身体や耳が不自由な人をサポートする「ほじょ犬」をいっしょに連れて、公共しせつやたくさんの人が利用する場所に入れることを定めた法りつができる

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国産もうどう犬第1号の『チャンピイ』を訓練する塩屋賢一(しおやけんいち)

まだ、もうどう犬がめずらしかったころは、
じろじろ見られたり、
電車やお店に入るのを断られたり、大変だったんだ。
長い時間をかけて努力して、少しずつもうどう犬への理解が広がってきたんだよ。

参考(さんこう)

動画リンク:「アイメイト(盲導犬)の歴史」

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「アイメイト・こどもサイト」は、ご家庭や教育現場で楽しみながら、アイメイト(盲導犬)に関する正しい知識を学習できるよう制作しました。さらに、アイメイト(盲導犬)に関する内容だけでなく、アイメイト使用者や視覚障害者が感じる「不便さ」や「不自由さ」についても紹介しています。大人と一緒に深く考えることで、子どもたちに思いやりのあるやさしい心が育まれることを願っています。

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