寺嶋秀司さん/株式会社バンガードインターナショナルフーズ

ペットフードの開発、輸入、販売を手がける株式会社バンガードインターナショナルフーズでは、訓練中のアイメイトのためにフードを提供することで、アイメイト事業を支えてくださっています。その量は年間で5トンにものぼります。

 

また、社員の方々も皆動物が大好きで、会社に一緒に通勤したり、中にはアイメイトの飼育奉仕をしてくださっている方もいらっしゃいます。他にも、社員研修でアイメイト協会を訪問したり、アイメイト使用者を対象にした研修会ではフードに関するセミナーのサポートしてくださったりと、様々な形でご支援してくださっています。

 

千葉県佐倉市の社屋を訪ねて、代表取締役社長の寺嶋秀司さんに話を聞きました。

 

自然のなかの広い敷地。木の温もりが感じられる社屋。予約制のドッグランも併設されています

 

アイメイト協会支援のきっかけ

——— どのような経緯で、アイメイト協会を支援してくださるようになったのでしょうか?

今から20年ほど前、弊社が創業して間もなくの頃です。私どもは、愛犬に安心して与えられる高品質のフードを提供するため立ち上げられた会社なのですが、創業社長の近森三和がアイメイト協会を訪問した際、当時専務理事だった塩屋隆男さん(現在は代表理事)とお会いし、視覚障害者福祉に対する理念や犬との関わり方にとても共感したと聞いています。

その後、フードに関する相談などを通じて交流が始まりましたが。創業間もないということもあって、まずは自分たちのできることをできる範囲でお手伝いしようと、アイメイト使用者の方々に特別価格でフードを提供することから始めました。

 

———当時は、フードのカタログを点字でも制作・配付してくださいましたね。

やはりアイメイト使用者の方にきちんと情報提供し、ご自身のアイメイトに合ったフードを、ご自身で選んでいただきたいという思いがありました。現在は、商品点数も増えたため、点字ではなく、よりコンパクトで使いやすい音声カタログを制作し、ご希望の方に無料で配付しています。

視覚障害者でも読めるように点字カタログ(左)も発行。現在は、音声カタログ(CD)になっています

 

毎年5トンものフードを寄付

———現在、訓練中のアイメイトが食べるフード(年間約5トン)はすべてご寄付いただいています。

はい。創業からもうすぐ10年という頃だったでしょうか。全社員が2日間に分かれ、アイメイト協会を訪問させていただく社員研修をしたんです。社員にも、アイメイト協会についてもっと知ってもらいたいということで行ったのですが、そこで見学・体験したことは、想像以上の衝撃があったようで、社員一人ひとりが視覚障害者の方やアイメイト(盲導犬)について改めて考えるきっかけとなりました。そして、もっと私たちにできることがあるのではないかという想いから、訓練中のアイメイトのフードをすべて寄付させていただくようになりました。

 

———とてもありがたいことです。

私どもとしても、アイメイト使用者の方のニーズを教えていただいたり、時には製品に関してフィードバックしていただいたりしていますので、相互に良い関係が築けているのではないかと思っています。

 

——— 先日も社員の方たちが研修の一環として、協会を訪ねてくださいましたね。

私も初めて参加し(2014年11月に代表取締役社長に就任)、実際のアイメイトの訓練の様子を間近で見ましたが、人と犬との関係がとても素晴らしいと思いました。人と犬との間に深い愛情があり、信頼関係が築かれているからこそ、きちんとした仕事ができるようになるということを教えていただきました。

こだわりのペットフードが並ぶエントランスには、アイメイト協会の募金箱も置いてくださっています

 

社員に継承されていく社会貢献の精神

——— 話は少し変わりますが、御社では、犬を連れて出社する方がいらっしゃるそうですね。

はい。しかし、社員全員が犬を連れて来るわけではありません。また、連れてくるにあたっては人に迷惑をかけないことが大前提です。周りの社員にちゃんと受け入れてもらえるように、時間にルーズにならない、きちんと掃除をするなど、一定のルールは守ってもらっています。

その上で連れて来るのは大歓迎です。休み時間にワンちゃんと遊んで息抜きをしたり、入社までワンちゃんのお世話をしたことのなかった社員が間近でその様子を見られたり、良いこともたくさんあります。

アイメイト・デーに参加し、実際に使用者の方の話を聞いたり、間近でアイメイトを見たことをきっかけに飼育奉仕に申し込んだ社員もいます。その姿は若い社員にも影響を与えていると思います。若手の社員にもどんどんがんばってもらって、会社としての社会貢献の精神をつないでいけるといいですね。ここにいる中野もそんなひとりなんですよ。

たくさんの花や緑に囲まれたオフィスの前で。オフィスにいた社員の方々と2頭の社員犬に社屋の前に集まっていただきました

 

——— 中野さんは子どもの頃にアイメイトの体験歩行を経験されているそうですね。

小学3年生のときに、学校でアイメイト使用者さんのお話しを聞いたり、アイメイトの体験歩行をする機会がありました。入社してみたら、自分の働く会社がアイメイトと関わりがあることがわかり、ビックリしました。

子供たちが、視覚障害者やアイメイトについて理解を深める機会をつくりたいと話す中野良美さん

 

あれから10年以上経っていますが、そのときの使用者さんの話や体験歩行の思い出は、今でも忘れられません。子どもの頃に経験していれば、視覚障害者の方とどう接すればいいかということも理解できるようになるので、機会があればそうしたイベントなども企画していきたいと思っています。

 

——— 最後に、御社にとっての社会貢献とはどのようなことか、寺嶋社長、お聞かせいただけますか。

「社会貢献活動は、継続していくことが企業としての使命」と語る寺嶋社長

社会貢献活動は、継続していくことが企業としての使命だと捉えています。けれども、会社も社員も特別なことをしているという意識ではありません。支援を始めた当初から、自分たちのできることをできる範囲でやっていこうという気持ちでやっています。更に言えば、弊社の場合は、社員が楽しみながら取り組んでいると思います。今後も私たちにできることは何かという視点で、会社が存続するかぎり支援していきたいと思っています。

 

——— ありがとうございました。

2019年2月15日公開