アイメイト協会がめざすもの
私たちアイメイト協会がめざすゴールは、「視覚障害者が、白杖や晴眼者の助けなく、犬とだけで単独歩行できること」。視覚障害者にとって歩行問題を解決することは、日々の生活にとどまらず、明日への希望につながる大きな一歩です。
「いつでも、どこへでも、人の助けを借りずに出かけられること」を目指して
歩行指導は、正しくアイメイト(盲導犬)を使えるようにするための、「人」に対する指導です。
アイメイト使用を希望する視覚障害者は、4週間にわたり協会に泊まり込み、歩行指導員から歩行指導を受けます。もちろん、自身のアイメイト(盲導犬)となる犬とは同室で、寝るときも食事をするときも行動を共にします。アイメイト歩行のゴールは、「いつでも、どこへでも、人の助けを借りずに出かけられること」。視覚障害者は、アイメイト(盲導犬)との二人五脚を目指して歩行指導に挑みます。
アイメイト協会には、自動車教習所のような練習コースはありません。アイメイト(盲導犬)の目を借りながら、雨の日も風の日も、少しずつ距離を延ばし、人や車が行き交う街中を歩いて練習を重ねます。卒業(歩行指導修了)までの歩行総距離は約120キロメートルにも及びます。また、合宿期間中には、電車など公共交通機関の乗降やアイメイト(盲導犬)の世話・健康管理、接し方など、卒業後の生活に欠かせない内容も学びます。
歩行指導期間中に徹底して教えられるのは、誰かの助けを借りることなく、自分自身で考えてアイメイト(盲導犬)に指示を出すこと。そうすることで、訓練をした場所と違う場所に行って、例え迷うようなことがあったとしても、落ち着いて対処ができるようになるのです。
歩行指導最終週には、当日告げられた初めてのコースをひとりと1頭だけで歩いて帰って来る「最終テスト」を実施。このコースを無事に歩き通し、合格した生徒(視覚障害者)には、盲導犬使用者証を授与、晴れて「アイメイト使用者」となって、それぞれの家路につきます。
歩行指導合宿のスケジュール
公道に設定された4つの練習コース
Aコース
横断歩道を含んだ協会周辺の直線道路。犬との歩行の基礎や信号判断、横断歩道の利用などを学ぶ
Bコース
協会と最寄りの駅を往復。踏切、駅舎内のエスカレーター、信号のない横断歩道の利用を学ぶ
Cコース
歩道のない交通量の多い道を歩く
Dコース
繁華街である吉祥寺の商店街や駅を歩き、人通りの多い場所にも対応できる応用力を養う
愛情を基本にした信頼関係を育む
アイメイト協会の歩行指導では、アイメイト(盲導犬)におやつなど物理的な「ご褒美」を与えたり、むやみに叩くなどの「罰」を課したりするような訓練をすることはありません。よく出来たときは心からの愛情を込めて褒め、使用者の身に危険を及ぼすような行為があったときは、それが正しく伝わるよう態度で示します。
「愛情をもってアイメイト(盲導犬)に接する」
——— 創設者である塩屋賢一から今に至るまで脈々と伝わる大事な心構えです。人間と犬の間には必ず愛情を基本にした信頼関係が成立します。これを育むことがアイメイト協会の訓練の基本であり、4週間の歩行指導の間にアイメイト使用者が学ぶべき心構えなのです。
(写真:塩屋賢一とアイメイト候補犬たち)