連載 アイコがレポート! アイメイト(盲導犬)の健康管理

歯と口の健康を守る、アイメイトの歯科検診

今回は、レポーター・アイコが特別にアイメイト候補犬の歯科検診を見せてもらいました!

アイメイト協会診療所には、一般の動物病院と同じように手術室やレントゲン室等も備わっていました。

 

さっそく、歯科検診の様子を見てみましょう!

歯科検診の順番待ち。今回は、取材のために特別に並んでいる姿を見せてくれました。若い候補犬9頭にまざって、リタイア犬も1頭参加

診療所の1階には、歯科検診を受ける候補犬たちがズラリ!歩行指導員の「ダウン(伏せ)」の指示で、みんな大人しく順番を待っています。

診察台の上に乗ると、歩行指導員さんが候補犬のそばに立ち、獣医師さんによる診察がスタート。口を開けて歯の状態やのどの奥を診るときも、さすが、候補犬は落ち着いた様子です。

おとなしく口を大きく開けるアイメイト候補犬。協会嘱託獣医師(左)と協会の歩行指導員(右)

獣医師:一般の動物病院では、獣医師は嫌われ役なんですよ。なかなか診察させてもらえないこともあります。その点、アイメイトや候補犬は大人しく口を開けて見せてくれるので、スムーズに診察ができます。

アイコ:歯科検診のポイントは?

獣医師:特に歯石と歯周病に注意して診察をしています。歯石があると、その周りが赤くなって歯周病を起こすことがあります。また、口の中の環境がわるいとリンバ節が腫れることもあるので、のどの奥にライトをあてて見たり、下あごを触ったりして腫れがないかも確認します。

「歯石もなくて、本当にきれいな歯ですよ」と獣医師さん。それにしても、候補犬は本当に落ち着いています

アイコ:犬も人間と同じく、歯の健康が大切なんですね。

獣医師:昔から「歯は万病のもと」と言いますよね。犬の死因に多い心臓病は、実は歯周病と関連があるとも言われています。定期的な歯科検診だけでなく、やはり日頃からのケアがとても大事。歯を悪くしてからでは遅いので、若くて健康な子犬のうちからケアを習慣づけることが必要なんです。

アイコ:アイメイト候補犬は、普段からきちんと歩行指導員さんが健康管理をされているから、歯や口のケアにも慣れているんですね。

歩行指導員:4週間の歩行指導を修了し、アイメイトとして卒業した後は、主人となる視覚障害者の方がアイメイトの健康管理を行います。犬がじっとしていないと口の中のマッサージや歯の状態をきちんと確認できないですよね。日頃から愛情をもってケアをする中で候補犬たちも慣れてきて自然と口を開けるようになります。信頼関係があるからできることです。

アイコ:
アイメイトになった後、使用者さんはどうやってアイメイトの口の中のケアをしているのですか?

歩行指導員:
タオルを指にまき、鼻のところを握手するように持って、歯や歯ぐきをふくんですよ。自分の歯をマッサージするつもりの程よい力加減で行います。アイメイトにとっても、主人に触られるのはうれしいことなんです。目が見えなくても、においやぬめりを確認することで健康状態の変化にいち早く気付くことができます。

自分の歯をマッサージするような力加減で。口のにおいや感触も、健康管理の大事な目安

アイコ:今回は、普段はなかなか見られない、アイメイト候補犬の歯科検診をレポートしました。

アイメイト協会診療所では、歯科検診だけでなく定期的な健康診断を行い、歩行指導期間中には、使用者さんにアイメイトの健康管理についてのレクチャーをしたり、現役アイメイトやリタイア犬などの健康相談に応じたりもしているそうです。そうやって、アイメイトやアイメイト候補犬、そしてリタイア犬たちの健康管理を大事にしているんですね!

まだ表情に幼さが残る候補犬たち。健康を維持して、しっかり訓練を終えたら、視覚障害者とペアになって歩行指導が始まります

2024年9月27日公開