さて、最後はリタイア犬奉仕家庭についての紹介です。使用者のそばで活躍してきたアイメイトは、10歳~12歳になると引退(リタイア)の時期を迎えます。いつリタイアするのかは、使用者がその犬の体調や体力をみながら判断しているため一頭ずつ違うんです。まだ体力が十分残っているうちにリタイアするんですって。
でも、リタイアしたあとは、どうするのでしょうか……?
リタイアしたあとの引き取り先は、3つのパターンがあるんですよ。
・使用者の親族、友人や知人が引き取る
・使用者がそのまま引き取る(次のアイメイトを持たない場合のみ可)
・アイメイト協会がリタイア犬奉仕を希望する家庭を探す
協会で引き取り先を探す場合は、まず獣医師による健康チェックを受けて、「家族として迎え入れたい」というボランティアさんのなかから、新しい家族を探すことになります。引き取られた先では、普通の家庭犬としてかわいがられて、「第二の犬生」を過ごします。
リタイア犬奉仕家庭から、「学校の登下校見守りをしています」「毎日、お散歩を楽しんでいます」「セラピードッグとして活躍しています」という、その後の様子が届くこともあるそうです。人のことが大好きで、とっても賢いアイメイトは、リタイアしたあともみんなに愛されて過ごしているんですね!
リタイア犬奉仕家庭のはせがわ かこさんに聞きました
アイコ:いま2頭目のリタイア犬奉仕をされているそうですね。
はせがわさん:最初のときは、10歳半のリタイア犬を引き取って、15歳半までいっしょに暮らしました。その犬が亡くなったときはつらかったので、もうリタイア犬奉仕はやめようと思ったくらい。でも、2、3年くらい先なら、もう一度やってもいいかなと思うようになり協会に挨拶に行ったら、「いまちょうど、健康上の理由で引退して新しいご家族を探している犬がいるのですが、タイミングが合わずまだ行き先が決まっていないのです。考えてみてもらえませんか」と言われたんです。まだ最初の犬が亡くなってから間もない頃でした。
思ったより早くて「ええー!?」とびっくりしたのですが、これも縁だと思いました。健康上の理由から平均より若い年齢でリタイアしていますが、引き取ったときは、すっかり元気に。とても甘えん坊な性格です。
アイコ:アイメイト協会のことは何をきっかけに知ったのですか?
はせがわさん:私はアイメイト協会がある地域で生まれ育ったので、小さい頃から路上で訓練している様子を見ていたんです。私がイラストの仕事を始めた30年近く前に、子犬がアイメイトになるまでを雑誌に描きたいと思い、取材させてもらったことがありました。そのとき、リタイア犬奉仕のことも知ったんです。子犬を育てるボランティアさんのことはテレビなどで見て知っていましたが、アイメイトとして活躍したあとに最後まで家族として過ごすボランティアもあるんだと思って、いつかやりたいとずっと思っていました。
アイコ:実際にリタイア犬奉仕をされてみて、どうでしたか?
はせがわさん:もう可愛くて可愛くて、この世のものとは思えないくらい(笑)。夫婦の話題も犬のことばかりになりました。生活が一変するくらいの幸せを運んでくれましたね。
アイコ:最後に、リタイア犬奉仕に興味を持っている方へメッセージをお願いします。
はせがわさん:リタイア犬奉仕というと、一緒にいられる時間が短いとか、介護が大変なんじゃないかとか、マイナスのイメージを持たれる方もいると思います。たしかに、そのことは否定しませんが、それに勝る喜びや幸せを家庭に持ってきてくれると思います。限られた時間だと思うからこそ、犬の健康には何より気を使いながら、一緒にいる時間をとても大切に過ごしています。
2021年5月9日公開