アメリカでは、“Seeing Eye Dog”“Leader Dog”など、出身団体やそれに伴う犬の能力によって、盲導犬の呼び方は異なります。日本において「盲導犬」という言葉は、“利口な犬が盲人を導いている”と受け取られがちです。しかしアイメイト歩行の実際は、十分に歩行指導を受けた視覚障害者からの指示を受け、人と犬とが協同で安全な移動を実現するものです。すなわちその主体はあくまでも人間にあるということです。そのため、当協会では、「私の愛する目の仲間」という想いを込めて、盲導犬ではなく、「アイメイト」と呼んでいます。

現在、日本には、アイメイト協会を含めて合計11の独立した団体が、それぞれの方針のもと、視覚障害者への歩行指導や犬の訓練を行っています。

ご参考:厚生労働省「盲導犬指定法人・訓練施設一覧」

現在、日本には、約1,000組の視覚障害者と盲導犬のペアがいます。その内の約250組、全体の1/4がアイメイト使用者とアイメイトのペアです

ご参考:厚生労働省「盲導犬指定法人・訓練施設一覧」

自ら歩き自立したいという強い意志をもち、アイメイト使用のための4週間の歩行指導を受講、卒業試験に合格した人です。歩行指導に申し込みができる年齢は18歳です。使用者の居住地域も北海道から九州まで全国に広がっています。なかには、海外からアイメイトを希望し、卒業した人もいます。

「子どもを保育園に送っていきたい」「目が見えなくなっても仕事を続けたい」など、アイメイトの使用を希望する理由もさまざまです。

アイメイト使用者は、実際に出かける場所の地図を把握し、アイメイト(盲導犬)に「ストレート(直進)」「ライト(右)」「レフト(左)」などの指示を出しながら街を歩きます。アイメイト(盲導犬)は、信号の赤や緑の色を識別できません。耳や感覚で車の流れを捉えた使用者が信号が青になったと判断し、アイメイト(盲導犬)に「ゴー(前進)」の指示を出して横断歩道を渡ります。アイメイト(盲導犬)の訓練は屋内でも応用できるため、使用者は、街を歩くだけでなく、レストランやお店、公共施設内でもスムーズな移動が可能です。また、アイメイト(盲導犬)は、これらの場所や、電車、バス、飛行機など、どこにでも同行できることが法律で認められています。

残念ながらお答えできません。なぜなら、訓練・歩行指導中の犬の飼育費やフード代、予防注射、ハーネスなどアイメイト歩行に必要な道具、人件費の他に、時々の状況によって変動する多岐に渡る費用があるからです。そのため、算出のための普遍的な計算式を公式化することができません。例えば、アイメイト(盲導犬)育成にかかるのは、フード代や予防注射代など目に見える費用ばかりではありません。また、アイメイトの繁殖、子犬の飼育期間中に発生する費用の一部(フード代、医療費の一部など)は、ボランティアの方にご負担いただいています。

かつてはジャーマン・シェパードでした。その後ジャーマン・シェパードとラブラドール・レトリーバーの両犬種が活躍した時代がありました。そして現在、アイメイト(盲導犬)の犬種は、すべてラブラドール・レトリーバーです。ラブラドール・レトリーバーは、柔和な顔立ちが表すように性格が優しく、素直で訓練しやすいという特徴があります。雄雌の違いによる能力の差はありませんので、アイメイト(盲導犬)になるかどうかの確率は、性別に左右されることはありません。

当協会では、訓練の過程で、アイメイト(盲導犬)に特にふさわしいと判断されたラブラドール・レトリーバーを繁殖犬として確保しています。繁殖犬に選ばれた雄犬と雌犬は、別々に繁殖奉仕家庭に預けられます。協会の計画を基に交配して生まれた子犬は、繁殖奉仕家庭で名前が付けられた後、生後2カ月を過ぎてから成犬に成長するまでの約1年間は1頭ずつ飼育奉仕家庭で過ごします。

どんなに高い資質をもった犬でも、生まれながらにアイメイト(盲導犬)であるわけではありません。協会の指導員と1対1で行う訓練を経て、初めてアイメイト(盲導犬)となる資格を得ます。訓練の際に大切なことが2つあります。1つ目は、上手にできた時には「よくやった。私はうれしいよ」という気持ちを込めて心から犬をほめることです。2つ目は、注意力が散漫なときなどには、感情的になるのではなく、「しっかりしなさい」という気持ちを込めて犬に伝わるように叱ることです。そしてもう一度やり直し、うまくできたらよくほめます。「おやつ」などの物を介さず、犬と真摯に向き合って関係性を築き上げていきます。アイメイト(盲導犬)は、3つの課程をおよそ120日かけて訓練します。
●基礎訓練 人に従う心と学ぶ姿勢を育みます。全ての基本になる大切な訓練で、どの訓練段階でもアイメイトとして卒業してからも継続します。
●誘導訓練 視覚障害者と歩く際に道の分岐や段差で止まって主人に知らせたり、障害物を回避したりできるようにするためのより実践的な訓練です。
●仕上げおよびテスト 歩行指導員が目隠しをして犬と歩き、訓練の仕上がりを確認して歩行指導に備えます。

どんな環境でも高いレベルでアイメイト(盲導犬)として仕事をするためには、例えば、乗り物酔いをしやすい、新しい環境に慣れるのに時間がかかるなど、アイメイトには向かないと判断される犬もいます。その場合は歩行指導に至ることなく、不適格犬奉仕家庭で家庭犬としての一生を送ります。

アイメイト(盲導犬)が混乱しないように、使用者は方言や男女差が極力少ない英単語「スィット(座れ)」「ゴー(前進)」「ドア(ドアノブを探す)」など約30の指示語を使います。基本、アイメイト(盲導犬)は、主人である使用者の指示に従いますが、車が近づいてくるなど危険なときは「ゴー」の指示を出しても進まない、後ずさりして危険を回避する訓練もしています。

アイメイト使用者は、歩行指導期間中に、食事の作り方や与え方、ブラッシングやシャンプー、排泄物の始末など、アイメイト(盲導犬)の適切な飼育方法を学びます。卒業して自宅に戻ってからのアイメイトの世話は、基本的には主人である使用者の役割です。
ちなみに、アイメイト(盲導犬)に食事を与えるのは1日1回。また、使用者は自身の生活スタイルと犬のリズムを考慮して排泄のタイミングを管理しています。「ワン(おしっこ)」なのか、「ツー(うんち)」なのかは、使用者が犬の背中の曲がり具合で判断しています。

主人となるアイメイト使用者は常に大切なパートナーであるアイメイト(盲導犬)の健康管理と維持に気を配っています。また、アイメイトはいつも主人(使用者)と一緒にいられるので情緒も安定しているため、一般的なペットより平均寿命が長いという調査データもあります。

多くの場合、アイメイト(盲導犬)は10〜12歳くらいで引退しますが、引退時期は、各犬の健康状態を考慮して使用者が判断します。多くの場合、リタイア後の生活を考え、体力的に少し余裕をもってリタイアさせます。引退が決められたアイメイト(盲導犬)は、リタイア犬奉仕家庭で幸せな余生を全うします。アイメイト使用者は、一度アイメイト(盲導犬)を手放したら、新しい家庭での生活を混乱させないためにも、原則会うことはできません。

居住されている都道府県が盲導犬育成事業を盲導犬育成団体に委託している場合は、その自治体経由での申し込みとなります。まずは最寄りの市・区役所の窓口に相談してください。その際は、どの盲導犬育成団体の歩行指導が自分に向いているか、受けたいかについてWebサイトなどで情報を集めておくことをお勧めします。お住まいの自治体が事業の委託をしていない場合は、直接協会に申し込むことも可能ですので、ご相談ください。

「主役は人であり、アイメイト協会の仕事の本分は人間教育である」という理念に基づいて、アイメイト協会では(犬の)訓練士ではなく、(人の)歩行指導員と呼んでいます。歩行指導員の仕事は、協会にいる犬たちの日々の世話から訓練、そしてアイメイトを希望する人に対する指導やアイメイト使用者からの相談まで多岐に渡ります。

人と犬の組み合わせは、使用者の歩く速さや身長、性格などさまざまな観点を考慮して、アイメイト協会が決めています。

アイメイト協会では、歩行指導の際に、左手にハーネスを持つ形で教えており、右隣にいる人のサイズを含めて障害物を避けるように訓練します。利き手に関係なく、ハーネスを左手で持つのは、世界共通です。日本には、ハーネスの左右持ち替えをしている団体もあるようです。

アイメイト使用者がアイメイト(盲導犬)を叱るのは、生命や安全を守るために必要な「しつけ」だからです。教えたことができるようになったとき、使用者はうれしいという気持ちを込めてアイメイト(盲導犬)を心から褒めることを心がけています。使用者が真摯にアイメイト(盲導犬)に向き合うことで、アイメイトペアの信頼関係がより深まります。

使用者が連れているときはもちろん、主人の指示で待機しているときにも、声をかけたり、触ったり、食べ物を与えたりしないでください。また、使用者とアイメイト(盲導犬)を結ぶ連絡用具であるハーネスに第三者が触ると思わぬ危険につながることがありますので、絶対に触れないよう注意してください。