連載 アイメイト協会の歩行指導 4週間密着レポート

(2)アイメイトとの運命の出会い

4週間にわたる歩行指導合宿の様子をレポーター・アイコがお伝えするコラムです。
入校式を終え、歩行指導もスタートした初日。合宿2日目となる朝には、いよいよアイメイトとなる犬に対面します。

お互いに初めての「カム!」

歩行指導合宿2日目の朝8時、昨日手渡されたばかりの真新しい犬具をもって、生徒さんが部屋に集合していました。これから自分のアイメイトとなる犬に初めて対面するとあって、その表情は期待でいっぱいです。

廊下で対面の瞬間を待つアイメイト

対面の前、アイメイト協会の理事長からは、こんなお話もありました。

「声符(アイメイトへの指示に使う用語のこと。詳しくは前回記事参照。)で指示を出すときに、ただ言うだけではダメです。たとえば『グッド』とほめるときには、『よくやってくれたね、嬉しいよ』という気持ちを込めてください。慣れてくるとうわの空で指示する人がいますが、アイメイトはちゃんと気づいています。忘れないでくださいね」

そして、いよいよ指導員が犬を連れてくると、生徒さんは「カム(来て)!」の指示でそばへと呼び寄せます。この「カム」が、ペアとなって初めての声符。結婚式で言えばケーキカットみたいなものでしょうか……といっても、この時点では、お互いに初対面。アイメイトとなる犬も、「この人は誰??」といった表情です。

人間も犬も、お互いにぎこちない雰囲気

どうやら生徒さんではなく、これまで訓練を受けてきた歩行指導員を、まだ自分の「主人」だと認識しているようです。うーん、こんな様子で本当に大丈夫!?

ところで、生徒さんがどの犬とペアになるのか、どうやって決めているの?

生徒さんと犬の性格、動き、体格などの組み合わせやバランスなどを考慮して決めています。理事長、担当指導員、そのほかの職員が、長年の経験に基づいて協議しながらペアを考えます。初日に犬なしで行う歩行指導の様子を慎重に見てから、直前で変更することもあるんですよ。

今日から毎日、片時も離れません!

今日からは、外を歩くときだけではなく、部屋で過ごすときも、食事をするときも、生徒さんは自分とペアになる犬と片時も離れません。卒業までに犬とのコミュニケーションがとれるようにならなければ、信頼し合って安全に歩くことができないからです。

そのために、毎日行うのが「基礎訓練」。「シット」「カム」「ウェイト」「ダウン」「フェッチ」の5つの声符を使います。タイミングよく心をこめて褒め、叱ることで、「これからは私が主人だよ」と教えて、ペアとしての信頼関係をつくっていきます。

使用者とアイメイトとの信頼関係は、日々の積み重ねなのです

とっても大事な「ワン・ツー」って?

合宿中は、歩行技術だけでなく、犬の健康管理、使用者としてのマナーなども習得していきます。たとえば、とても大事なのが「ワン・ツー」。一体、何のことだかわかりますか?これは、アイメイトのトイレ(排泄)の時に使う声符です。

使用者が「ワン・ツー」と言いながら、自分のまわりをアイメイトに歩かせるのがトイレの合図。ワン(おしっこ)かツー(ウンチ)かは、犬の腰の位置を触って判断します。最初からうまくはいきませんが、合宿中に経験を重ねることで、お互いの息が合うようになっていきます。終わったら、いつも持ち歩いている水やビニル袋で使用者自身がきれいに片づけをします。

ワン・ツーの片付けはマナーであるだけでなく、ほかにも大事な意味があります。それは排泄物の状態(量、におい、硬さなど)を確認すること。それが健康状態を知ることにつながるのです。

ブラッシングを使用者が行う意味

エサやり、ワン・ツー、ブラッシング、歯磨きなどは、帰宅したあとも、必ず使用者自身で行うように協会では指導しているそうです。見えないからといって、家族に世話を頼んではいけないのです。

どうしてアイメイトの世話を家族に頼んではいけないの?

使用者は、アイメイトの正しい世話の仕方を歩行指導で習得しています。毎日ブラッシングをすることで、皮膚の異常に早く気づくことができます。獣医さんも気づかないような小さな腫瘍を発見した使用者もいます。見えなくても、触ることで得られる情報は多いんですよ。ワン・ツーの片付けも同じで、使用者自身がアイメイトの健康状態をちゃんと把握しておくことが大事だからです。

生徒さんにとって、アイメイトは大事なパートナー。4週間のなかで、歩くことだけでなく、犬の世話も覚えながら、少しずつかけがえのないパートナーとの関係を築いていきます。まだまだお互いに慣れない様子ですが、今後の変化が楽しみになってきました!

2019年6月19日公開